フルートの音程が合わない理由と改善法②|音程の悪さに気づけている人が次にやるべきこと

はじめに
「音程が高いのは分かっているのに直せない」
「下がっている感覚はあるのに、どう支えたらいいか分からない」
「音程が合っていないのはわかるけれど、合わせようとすると苦しい」
このように音程のズレに“気づけている“のに改善できず悩んでいる方はとても多いです。
前回の記事では
「音程のズレに気づいていない人がまずやるべきこと」=聴く力を育てる
について解説しました。
今回の記事ではその次の段階、音程のズレに気づけている人がなぜ音程を安定させられないのか
どうすれば改善していけるのかをフルート特有の視点からお話しします。
フルートの音程が悪くなる原因は?その改善方法は正しい?音程の合う理想的な状態とは
音程のズレに気づけている人はもう耳の問題ではない
まず大切なことをはっきりさせておきます。
- 高い・低いが分かる
- 合奏でズレているのが気持ち悪い
- チューナーの結果に納得できる
こうした感覚がある方は耳そのものに大きな問題がある可能性は低いです。
この段階の悩みは、
「音程を聴き取れない」ではなく
「聴こえている音程を体で再現できていない」
という問題に変わっています。
フルートの音程が悪くなる理由
フルートの音程が合わない理由は、
その時々の音域・音量・音色に対して息のスピード・量・方向が適切でないから
です。
例えば、高音域で上ずるのは息のスピードが速くなり過ぎるからです。
音量を大きくしようとして、息の量を増やし過ぎたり外向きに吹き過ぎると高くなってしまうし、
逆に弱く吹こうとして下がってしまうのは、息のスピードや量が落ち過ぎてしまうからという場合が多いです。
同様に、柔らかい音や硬い音などの音質を狙った場合にも、息のスピードや量、方向が欲しい音質に対して不適切だと音程が不安定になります。
フルートの音程を安定させるには、息を安定させなければいけません。
フルートは息が安定しないと音程も安定しない〜楽器構造的理由
フルートの音程が安定しにくい理由は楽器の構造にもあります。
フルートはリードやマウスピースのある楽器とは違い息を直接楽器の中に送り込んで音を作る楽器です。
つまり吹き込んだ息のスピードや量、方向がそのまま音に出やすく、音程や音色にダイレクトに影響してしまうのです。
フルートには「音程を固定してくれる部分」がない
例えばオーボエやクラリネット、サックスにはリードがあり、金管楽器にはマウスピースがあります。
これらはある程度
「息を受け止めてくれる部分」
「振動を安定させてくれる部分」
であり、音を出すのに一定の抵抗が存在するということです。
一方フルートは息をエッジに吹きつけるだけで音が成立するシンプルな楽器です。
その分自由度が高く音色も表現も豊かになりますが、同時に息の不安定さがそのまま音程に出てしまうという、とても正直な楽器でもあります。
多くの人がやってしまう「音程修正」の落とし穴
そんな楽器構造的特徴のあるフルート。
もともと安定しにくい音程を安定させるには、他の楽器にあるリードやマウスピースのような抵抗を自ら作り出して息を安定させなければなりません。
ところが音程が悪いとなると、修正しようと多くの人がまずやってしまうのがこれです。
- 口周り、唇の形を変える
- 顎を引く/出す
- ピッププレートの当てる位置や角度を変える etc…
つまりアンブシュアを変えてみようとするのです。
もちろんアンブシュアの調整自体が悪いわけではありません。
問題は
息が不安定なままアンブシュアだけで音程を直そうとすること
です。
この状態では一時的にチューナーの針が合っても、 音色が悪くなったり他の音でまたズレたりします。
息が整わないままアンブシュアを調整する弊害については
フルートのアンブシュアに悩むあなたへ|口を直す前に見直してほしいこと
にまとめましたのでこちらもご覧ください。
息が安定すると音程は「勝手に落ち着く」
- しっかり支えられた
- 最後まで流れ続ける
- 押しすぎず、抜けすぎない
こうした息が作れると、
- 高音でも低音でも、強音でも弱音でも楽に吹ける
- 音程を意識しなくても合いやすい
- アンブシュアを大きく変えなくて済む
という状態になります。
このときアンブシュアは音程を必死に直すための道具ではなく、音色やニュアンスを整えるための微調整という本来の役割を担うことになります。
アンブシュアは必要な音域・音量・音色に合わせて自然に必要なだけ調整される。
音程も「直そう」としなくても勝手に良くなっていく。
これが理想です。
「音程を合わせる」ではなく「音程が合う状態を作る」
音程の悩みが長引く人ほど、
「どうやって合わせるか」
「どこを動かせば直るか」
を考えがちです。
でも本当に大切なのは、音程を合わせにいかなくても自然に合う状態を作ること
そのために必要なのが安定した息と支えなのです。
最初に整えるべきは「息」
アンブシュアは確かに重要です。
ただしそれは息が安定していることが前提です。
土台である息の支えが不安定なままでは、どれだけアンブシュアを調整しても音程の悩みは繰り返されます。
音程を本当の意味で安定させたいなら
口より先に息
息の安定のための支えを作る
これを覚えておいてください。
息をコントロールして安定させるのは「お腹の支え」
お腹の支えは力ではない
よく言われる「お腹の支え」とは、 腹筋に力を入れて固めることではありません。
支えがある状態では、
- お腹・体幹が内側から広がっている感覚がある
- 息を止めず、出し続けられる
- 息のスピードと量に余裕ができる
つまり、
息のスピード・量・方向のコントロールを口に任せず、体幹で安定供給できている状態
です。
お腹の支えに関しては
お腹の支えって何?フルートを吹くのに最も大事な呼吸のコントロールとお腹の支えについて
に詳しくまとめましたのでこちらも是非ご参照ください。
具体的な「支えの作り方」
ここからは実際にどうやって「お腹の支え」を作るのかを整理します。
「息を出す前」から支える
多くの方が「吹いている最中に支えよう」としますが、実は息を吸った時点で支える準備は始まっています。
- 息を吸った時に胸や肩が固まっていないか
- お腹が自然に広がり、その状態を保てているか
この「広がった状態をキープしたまま息を流す」感覚がフルートにおける支えのベースになります。
吹く前に支えを感じる簡単な確認方法
フルートを置いて、息だけでやってみます。
まずいわゆる腹式呼吸で息を吸います。
———お腹が膨らみますね?
そうしたら息を吐こうとして直前で息を止めてみてください。
吸った状態で止めるのではなく、身体を呼気時の状態にして止めます。
息をグッとお腹で溜めるように。お腹はさらに膨らませるようにしてください。
この「溜め」がお腹の支えの感覚です。
息を吐く前にまずお腹の支えに注意を向けさせ、呼気時にもこれを意識して維持しやすくします。
お腹でしっかり支えられているときの感覚
次にこの「溜め」の感覚を保ったまま静かに息を吐いてみてください。
うまくいったらフルートを持って同じように吹いてみます。
- 息が前に自然に流れる
- 音を「押している」感じがない
- 意識しなくても音程が落ち着く
この状態が作れると、
音程は「操作しなくても」安定し始めます。
音程を「直そう」とすると逆に崩れる
音程がズレると、
「もっと下げなきゃ」
「もっと上げなきゃ」
「合わせなきゃ」
と音程だけに意識が向きがちです。
その結果、
- 息が止まる
- 口が固まる
- 音が細くなる
という悪循環に陥ることがよくあります。
これはもちろん音程にも悪影響です。
音程は直接動かそうとするほど不安定になりやすいものです。
ロングトーンで見るべきポイント
音程を安定させたい場合、ロングトーンで注目すべきなのはチューナーの針だけではありません。
- 息が最後まで流れているか
- 音が途中で痩せていないか
- 支えがなくなる瞬間がないか
特に音程が途中で下がる人は、先に息の支えが崩れています。
チューナーは「結果の確認」として使い、原因は身体と息の感覚で探していくことが大切です。
曲の中では「フレーズ全体」を支える
曲練習では、1音ずつ音程を合わせようとすると逆効果になります。
大切なのはフレーズを一つの息で支え続ける意識です。
音程が安定すると、
- フレーズが落ち着く
- 音が自然に収まる
- 合奏の中で溶ける
という感覚が生まれます。
音程はセンスではなく身体で身につけるもの
「音程が悪いのはセンスがないから」
そう思ってしまう方もいますが、それは違います。
音程のズレに気づけている人は、
すでに必要な感覚を持っています。
あとは
- 息の使い方
- 支えの感覚
- 練習の順番
を整理するだけです。
一人での練習が難しい理由
ただし音程の問題は
- 合っているつもり
- 支えているつもり
になりやすく、一人では原因を見誤りやすい部分でもあります。
「耳」「息」「体」のどこがズレているのか。
これは客観的な視点があると整理が一気に進みます。
音程の悩みは段階を分けて
音程の悩みは、次の2段階に分けて考えることができます。
① 音程のズレに気づいていない段階
→ まずは「聴く力」を育てる
② 音程のズレに気づけている段階
→ 息と身体の使い方を整える
①を飛ばして②に進もうとすると混乱し、
②を知らずに①だけ続けても限界があります。
音程改善には正しい順番が必要です。
国神フルート教室のレッスンでは
国神フルート教室では
- 音程がズレる瞬間に何が起きているか
- 息と支えがどう変化しているか
- 何を意識すれば安定するか
など演奏を聴きながら、個々に一緒に確認していきます。
チューナーに振り回されるのではなく、自分の感覚で音程を支えられる状態を目指します。
音程の悩みをここで止めませんか?
音程の不安は基礎練習、曲練習、合奏やアンサンブル、すべての演奏に影響します。
正しい方向で整理できると
- 音が安定する
- フレーズがまとまる
- 合奏が楽になる
と演奏全体が変わっていきます。
もし今
- 音程に気づいているのに直らない
- 何を変えればいいか分からない
と感じていたら、一度体験レッスンで一緒に音を聴いてみませんか?
あなたの音がどう聴こえているのか、
どこを整えれば良くなるのか、
丁寧にお伝えします。
